襲うガッツ


 ――にしても、ホントに関係してたんだ。

 城の倉庫の前で休憩しているリリス。お昼の食事が終わって休憩中だ。この木陰がある場所がお気に入りなのだ。いまさらながら実感するリリス。実際二人がいちゃいちゃしたのを見たのは、浴場以来だからだ。

 ――あそこまでいい雰囲気になってるなんて……ミクは幸せ者ね。
 ちょっとうらやましい。しかし、割り込むつもりはない。

 まあ……その気になれば、いつでも。

 という気持ちもあるが、やっぱりミクに悪いという気持ちが大きい。ミセルバはリリスにとっても魅力がある。御領主といっても年下は年下だ。かわいいと思ったこともある。

 ふふふ……かわいい、かあ〜失礼よね……と心の中で微笑むリリス。

「ようこんなとこで何してる」
 嫌な奴が来た。

 騎士団長ガッツ――

「なに、ストレス溜めるの辞めてくれる?」
「ストレス?」
「あなたが来るだけでストレスが溜まるのよ」
「おい!貴様どういうことだそりゃあ?」
「シッシ、どっか行きなさいってば」
 そう言われてどっかに行くよう男ではない。手をグイっと掴まれる。
「そういやもうすぐ誕生日だよなあお前」
「…………」
「25おめでとう」
「……なに?25になったら許容範囲に入るからアタックするっていうの?」
「特別にお前はその前から相手してやってもいいぜ」
「ふざけないで頂戴」
 掴まれていた手をグイっと引き離す。が、ガッツは無理やリ抱き寄せてきた。
「なにするのよ!」
 次の瞬間!……んんっ、ん――

 なんとキスされたのだ。


 こ、この!――あっ!

 舌が入った。

 リリスが反撃する。股間を狙って蹴りを入れる。

 しかし……その蹴りは、手で意図も簡単に止められた。ググッと顔を掴み。身体を引き寄せるガッツ。

 こ、こいつっ!

 だが力でこの男にかなうはずはない。騎士はみな鍛えられている。

 はなせ!離しなさいよ!――え?……ああ!――

 あそこに手がついに侵入し始めたらしい。怒りに燃えるリリス。ここは人通りが少ないとはいえ、城内だ
とんでもない男である。しかし実際はこういうことはこの世界では当たり前であった。これだけしてもほぼガッツはお咎めなしだろう。
 ごわごわした指があそこの奥深くに侵入している。何年ぶりかの男の指……しかもこの嫌な男の。抵抗しようにも、口を塞がれている。片手はあそこに侵入している手をどけようと必死に抵抗中。もう片手で相手の顔を掴むがそれ以上は手の施しようがない。

 ――ちょっと、いやっ、いやあああ――

 事態の深刻さが徐々に身に染みてきた。もしこれを誰かが見てもここの来るのは世話人のじいさんぐらいだ。下人はこういうことにはかかわらないように見てみぬ振りをする可能性もある。メイドが来たとしても多分どうしようもないだろう。騎士団長という地位が黙らせるからだ。

 くっ、くそ……ちくしょう!――

 ついに押し倒された。


 うああっ!こんな……こんなこと、許されるの?――

 城壁のこの辺りは人はこない。城は何百人という人が出入りするほどの規模だ。すさまじく広い。

 声出せば――

 口が塞がれてる。


 逃げ――

 無理だ。口を塞いだままリリスの両手を片手で掴むガッツ。間違いなくこの男、手馴れている。

 ううっ……だ、だめ。

 だが抵抗が弱まってきた。無駄と思い始めたのだろう。しかしそこにこういう男は付け込むのだ。最悪の状況になってきた。

 もういや!――やめて!

 こうなるともう貞操は危ない。ガッツが自分の腰のベルトに手を掛ける。信じられない光景だ。さっきリリスがここでゆっくり休憩していたとはあまりに状況が違う。

 ついに……抵抗が緩む。諦めかけたらしい。が……正面に男の姿が見えた。


 あっ……!


「あ、あの」
その声に一瞬振り向くガッツ。
「ロット様!」
 ありったけの声を出してリリスが叫ぶ!そこには男官ロットの姿があった。
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