対面


 ふああああ……眠い。

「殿下、今日は寝不足でございますか?」
「ん?」
 メイドが一人、部屋を掃除している。
「ありゃあもうそんな時間か?」
「はい、早くお食事を済ませてもらわないと」
 どうやら寝坊……昨日二回もしたのが響いている。
「はいはい」
 ――んじゃまあ〜行きますか。

 身だしなみを整えると、部屋を出る。メイドも付き添う。廊下を歩く。テクテクと。周りはさすが王城だけあって豪華な壁だ。いろいろな人が朝から行き交う。メイド、執務官、軍人、貴族。
 しかし……朝からドレスが悩ましい女性がなんと多いことか。これが普通らしいのだが、胸をことさら強調している服が圧倒的に多い。貴族の令嬢だけではない。メイドの服もそうだ。横についているメイドの胸も谷間が凄い。だがポポはもう見飽きている。美人は三日で飽きるというが……。
 まあ毎日毎日見てたらそういうものなのかもしれない。

 とある部屋についた。結構広い部屋だ、中に入ると二人の女性がもう先に頂いているらしい。
「おはよう、ポポ」
「おはようございます」
 ポポが一礼する。メルティーナ王女とサラティーナ王女だ。
「あなたはいつものんびりしてますねえ」
「は?今日はたまたまですが」
 いつもはポポははやい。だが昨日の衝撃が……早起きの感覚を鈍らせた。

「たまにははいと言ったらどうです、あなたはいつも機嫌をそこねることばかり」
 長女のメルティーナがちくりと皮肉る。スタイルは抜群の彼女だが顔立ちはちょっときつい。
「ははは……昨日の事でございますか?」
 こっぴどく怒られたのだ。父上より。

「ふふふ、ポポはいつも元気でいいわよねえ」
「恐れ入ります」
 こちらのお方は次女サラティーナ王女。かわいい系のお嬢様だ。おもむろにポポは席に着く。料理はもう並べられている。凄い量だ。もちろんちょっとづつ摘んで終わりなのだろう。贅沢このうえない。
「ポポ、あなたはいずれこの国を背負って経つのですから、もう少ししっかりして貰わないと」
 まるで王妃のような小言をいうメルティーナ。

「いやあ〜」
 のん気なポポ。呆れた顔でメルティーナは見つめる。ポポはそっけない振りをしてその場をしのごうとしている。最近は本当にきつく当たられる。だが理由はもうわかっているのだが……。
 この日の食事はあまりのどを通らなかった。





 食事を済ませた後、部屋でルビア達が来るのを待っているポポ。

 ――姉上には……まいったなあ。

 ポポにとってメルティーナは、ますます扱いにくく将来はなるだろう。なぜなら王になるのはポポとほぼ決まっている。だがこの国は第一子がまず候補になる。それを覆すのは自ら王になっている人間、つまり父、キリー=ブラベッシュ王のみ。王はポポに継がせることをすでに明言しているのだ。メルティーナはそこが気に入らないのだろう。
 ポポも大人になりかけていく過程で、最近ひしひしとそれを感じる。複雑な人間関係……大人になれば嫌と言うほど感じる事になる。だが今は、別の事でドキドキだ。もうすぐルビアが、あの色気むんむんの女軍人がくる。好みとかでは特にないのに、妙にもう気になって仕方がない。
 昨日の衝撃が……あの淫らな衝撃が忘れられない。

「失礼します」
「あ、ど、どうぞ」
 ドキドキの瞬間。そこにはルビア以下4人の姿があった。


後ろ ルビアトップ