ふぃ〜

 殿下が部屋に戻ってきた。ちょっと汚れているようだ。だがスリルは満点。やっぱり面白くてたまらない
 
 ――月の明かりなければ、ちょっと出来なかったかもな。

 改めて光というモノに感謝する。砂糖入れ、クリーム入れのビンに混ぜ合わせてきたのだ。両方とも色は白、見ただけではおかしいとは思わないと思う。

 ――しかしなあ……本当に効くのかな。

 欲求不満になれば又あのすばらしい光景が見れるのだろうか?確証はない、でも期待は出来るかも

 ――ドキドキモノだよ。ふふふ、明日から楽しみ。
 無邪気に笑うポポ様。かわいい顔がさらにかわいく強調される。

 さ〜て……寝よ――

 事を起こして満足した殿下は深い眠りについた。





 ――よし、これでいいかな。

 だいたい片付いたようだ。後はいつでも名残おしむことなく出発できる。ここはルビアとマグアイヤの屋敷……だったところだ。他人に売却契約も終わり、出て行く準備も整った。ひと段落着いた所である。

 ――ん?

 向こうからなにやら軍人が……来る。二人の男だ。

 ――なんだ?見送りか? まさか、な。あ、あの人見た事あるぞ。

 馬に乗った二人の軍人が側に近寄る。マグアイヤの馬車の横に馬を近づけた。
「マグアイヤ殿、ちょっとお話がある聞いて頂けますかな」
「は、はい」
 緊張するマグアイヤ。間違いない、ルビアの部下だった男達だ。だがどうしても軍人というのは怖い。  警察としての権力も調査権もいざとなれば持っているからだ。
「実は、目狐という盗賊の残党が、ルビア殿を狙っているという情報を耳にしたのです」
「え!――」

 目狐……そうだ、あのルビアが退治した、組織を崩壊させた盗賊団。
「壊滅状態にはしたのは良かったのだが、生き残りが恨みを晴らそうとしているらしいのです」
「…………」
「一応、こちらからもルビア殿には、連絡するつもりでもありますが、十分そちらも気おつけなされ」
「は、はい」
「警備の者は?」
「いえ、私と使用人数人だけですが」
二人の軍人は見合わせて・・
「う〜む、それは危険だ、あなたは夫である以上、狙われる可能性はある」
 
 ――おいおい、なんかとんでもないことに……なってきた。

「いつ出発なされるのか?」
「明日ですが」
 マグアイヤが緊張して答える。

「もう少し伸ばしては頂けまいか?、こちらからも兵士を加えたいのです」

 ――わざわざ、ここまでしてくれるということは……かなり状況は危ないということか。

 夫を人質に……ありうる。


「わかりました、延期しましょう」
「おおっ、ありがたい。こちらもあなたに何かあればルビア殿に申し訳がたたぬ。聞き届けていただき感謝する」

 ――冷や汗がでるマグアイヤ
 ルビアのしていることは大変なんだ。
 改めて軍人というモノを……噛み締めるマグアイヤであった。

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