この屋敷に向かってくる馬車がある。ガタガタと音をいわせながら……横には何人かの男女の兵士が付き添っているらしい。馬車の前面にはなにやら紋章が輝いている。月の光で綺麗に見える。馬車が屋敷の前に着いたようだ。

「ごくろうさん」
 中からスラッとした女が一人。

 ――ルビアだ――

 16歳の時都で試験を受けて見事に一発で合格。二年間の修習期間を終えた後、准尉に任ぜられる。それから少尉、中尉、大尉と順調に出世している。なかなか身体も鍛え抜かれている。
 それにしても……悩ましい

 女性の軍服は妙に身体の線が出るように作ってあるらしい。胸が大きいければ、腰のウエスト周りが細ければそれをより強調することになる。お尻もぴっちりした服装になるようにしてあるので形がよければ目の保養になることこのうえない。

「おめでとうございます」
「もう今日で何回聞いたかな?……ありがとう」
 敬礼する男女の兵士。

 なにか功績があったのだろうか?後ろから先ほどのおばあさんが寄って来た。
「おかえりなさいませ」
「ただいま。マグはもう帰ってる?」
「はいさきほどから湯に浸かれておりますよ」
「そう」
 にっこり微笑むルビア。結構きつい顔立ちだが笑うとかわいいところもあるようだ。
「ではまた明日お迎えに参ります」
「うん、お願いする」
 兵士達は敬礼して帰っていった。






 湯につかりながら……マグアイヤは思う。

 ――俺は必要とされているのだろうか?ルビアから。

 頼りなさそうにも確かに見える。かっこいい男には見えるがなにかが足りないという感じだ。いつものことだが、これを考えはじめると……気が重くなる。

 浴槽は結構広い。二人は十分に浸かれるようになっている。普通の家ではまずこの広さはない。やはり裕福に入るのだろう。

 ――ん?風呂場の戸を叩く音が。

「ルビアよ」
「あ、ど……どうしたの?」

 スッと戸を開けるルビア。そこには見事な肉体をさらけ出したルビアがいた。


「お、おい」
 びっくりするマグアイヤ。こういうことは初めてなのだ。

「ど、どうした?」
「どうしたって?あなたに抱いてほしいからよ」
「い、いや……いつもは」
 スッと一緒に浴槽に入るルビア。

 ――やれやれ……またいい事があったな。
 だいたいルビアが大胆な行動に出る時はそういうものらしい。

「今日はどうだった?」
「聞くなよ……辛くなる」
「ふふ、まあ少しずつ……ね」
 ふう〜とまたため息をつくマグアイヤ。この男が売っているのは、装飾品。ガラス、陶器等を作って売り歩いている。だがさっぱり売れない。ルビアの知り合いとかは買ってくれるが、そのコネがなければほとんどぼうずだ。もちろんルビアの稼ぎなら店を持つことも出来るだろう。だがそれはしたくない。ますます卑屈になる。
 っと考え事をしているとルビアの魅力的な胸が迫ってきた。

「お、ど……どうした?」
やさしくキスをするルビア。
「ふふ……昇進よ」
「え?ま……まさか?」
「准佐に内定したわ」
「…………」

 ――し、信じられない……異例の出世だ、本当かよ――

「この前の盗賊退治が功績になったみたいなの」

 軍人が盗賊退治?実は軍人は戦う時以外は主に訓練しかすることはないのだ。御領主や王家の警護等は毎回巡回制であり、赴任場所によっては一月に一回ほどしか回ってこない時もある。そこで警護官が手におえない、管轄などで制約がある場合に、軍が自ら指揮して動くことがある。今回、地方を荒らしまわっていた、目狐という盗賊を見事に捕まえたのだ。

 ――はあ〜ますます俺の立場が……お……

 おいおい……

 突然ペニスを掴まれる。

「今日はゆっくりサービスしてあげる」
「あ、いや……ど、どうも」
「ふふふ」
 ルビアは舌を這わせ始めた。


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