「じゃあ、また退治しに行くの?」 「そうね……」 ちょっとさびしそうな、ルビア。夫の胸の中に寄り添っている。ベッドの上で…… 「そうか……」 盗賊退治となれば、長期に渡って不在となる。夫にとっては妻を抱けなくなる。といっても、さっきまで激しくまぐあったばかりだか。もうルビアはメロメロだ。 しかし…… 比べている……無意識のうちに。 「さみしい?」 裸のルビアが聞いてきた。 「まあ……ね」 正直この肉体が見れないのはつらい。それほど最近のルビアの身体はいとおしい…… 「帰ってきたらまたうんと愛してね」 めずらしくかわいいせつない声で言うルビア。お姉さんという立場から離れている感覚だ。 「……ああ……もちろんさ……」 ルビアの目をみつめるマグ。このところの妻の身体がたまらなくほしい。しかしその身体を開発しているのはマグ自身ではないということを……この男は知らない…… 今から忙しくなるルビア。ここからルビアの戦いの物語は本格的になるのだ。 目狐の後始末は、後々想像を絶する騒動へと発展していく…… 「ふああああ〜」 憂鬱なポポ。このところちっとも面白いことがない。 ルビアが側にいなくなってからもう数日がたつ。あの豊満な肉体も確かに恋しいが、それ以上に面白くない。 ――まいったよなあ〜 完全に外出禁止。今度妙な真似をしたら軟禁するとまで言われているポポ。いまでも十分に監禁状態だが。 正直ここまで徹底することになるとは思わなかった。いろいろな噂が飛び交っているらしい。それがさらにポポを守ろうとする意図が強くなっているのだ。 服を着たまま寝転んでいる。せっかくきれいに仕立てている礼服がもうしわくちゃだ。 「殿下、軽く廊下を歩くぐらいなら構いませんよ」 廊下を歩くのに許可がいるとは…… 「どうせ一緒でしょ? 一人じゃないならここでいい」 「……わかりました」 ため息をつくクリティーナ。だが、殿下の気持ちもわかるのだ。これだけ監視状態では嫌になると思っている。 「少しはお歩きにならないと、身体に障りますぞ」 「いい、障らない」 ジトのアドバイスにも嫌味でしか答えない少年。 「身体がなまってしまいます、殿下」 クライシスが身体のことを心配している。 「ぼくはなまこじゃない」 口だけは達者だ。 ――あ〜あ……暇だよ。 ルビアという大事なおもちゃのパートナーがいなくなって、鬱状態。ルビアが王妃に呼ばれてから、ルビアには会ってないポポ。新部隊のメンバー集めに忙しいようだ。もう、ルビアの殿下警護役という職は、形だけである。 すると…… 「殿下、ラミレス様がいらっしゃいました」 「え?」 ラミレスだ、親友がやってきた。 「よう、元気?」 相変わらずのようだラミレスは。今日はパリッとしたタイプの服を着ている。軽装のようだ。 殿下の悪友ラミレス。いつも二人で悪いことや、妙なことをする大事な友達。 「疲れてる」 作り笑いをするポポ。その表情を見てラミレスは思う。 (はは〜ん、相当たまってるな) 親友のストレスがたまっていると感じる。つまらないということは欲求不満の証拠だ。 「これしようぜ」 何かバッグのようなものを持っている。 「……ん?」 「あら……」 クリティーナ少尉がちょっと目を丸くする。 ローラー ブレードだ。今、はやっているのだ、この国で。といっても現代のものとは違い、みかけはクラシック調である。 「そうだね」 いらいらしているときには、いいかもしれない。 「ついてくるの?」 「もちろんです」 やれやれといった表情のポポ。 身体がなまってうずく殿下。このうっせきした思いを晴らすには、すべりまくるのがいいのかもしれない。 媚薬入りのコーヒーをしっかり飲んでいる。ますます淫乱になるために飲むルビア。もちろん彼女はわかっていない。 「ふう〜、だいたい済んだわね」 幹部クラスは十人ほど。全体で100人規模の隊になる予定だ。後は、現地調達ということになる。軍人は、国の各々の領主の規模に応じて配置してある。人がほしいときは、その場所で借りるということになるのだ。場合によっては、その地方の地方騎士を配下に置くときもある。 これが管轄の問題もあって実は非常にややこしい。 軍は、中央の皇族正規軍と地方の地方正規軍にわかれている。 騎士は皇族騎士と地方騎士にだ。 騎士は地方領主が任命して赴任しているのだが、すべての騎士の資格は、中央が与えている。だから、表向きは中央の王族の配下なのだ。それを領主が命令系統の立場で指揮下に置いているという立場。 対して軍は、王がすべて資格を与え、すべて任命しているという立場である。 地方正規軍も王の支配下であり、命令系統でも、領主は動かすことは出来ない。 領主が持てる軍は、地方の領主の地方領主軍、それと各々の貴族が財力によって持てる、地方騎士だ。 領主は、領土も王族の委任統治という形であり、決して自分の領土ではない。しかし、現実は自治権を持って統治しているのは地方の領主。ミセルバ様のアウグス家も同じである。 だから、ある程度の高官のクラスの軍人でないと困るときがある。准佐クラスでは、騎士帝長から許可をもらったりするときに難色を示す時があるのだ。そうなるとややこしくなる。 しかし、軍人が、王族、あるいはそれに順ずる地位のものから正式命令を受けて動いてる場合は、 従わなくてはいけないことになってはいる。 これは地方領主も同じだ。だからこそ、本来は、逆に誰でも認めるクラスの人間を責任者にたてる必要がある。 ――いろいろしないといけないときは……大変かもね。 ルビアとしては、不安もある。女性である以上、いろいろつらいかもしれないということだ。地方はまだまだ力を振りかざしてくる女性を嫌う。 「え〜と……あとは……」 一服のたびにせっせと媚薬入りのコーヒーを飲むルビア。身体がどんどんエッチに蝕まれていく。 ――なんか……充実してるわ……わたし。 ルビアにとって、最近は気持ちはいいが、正直困ることばかりが続いていた。殿下との肉体関係はもう消えることはない。しかし、それをいくら気にしても仕方ないのだ。 メイドや愛人ならごく普通のことだが。 嫌なことが忘れられる……夫にもかわいがってもらっているルビア。 ルビアとしては殿下とのことは正直忘れたいのが本音。 しかし…… 身体は立派に覚えているのだ。この仕事が本格的になれば、夫には当然抱いてもらえない。 と、すれば……欲望が…… だが、殿下も…… 「これを申請して認められたら終わり」 たくさんある申請書類を丁寧に見直すルビア。 いよいよルビアは本格的に目狐退治に動き出す。 |
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