ポポ


 ここは王城ルクセンバロック。この国最大の大きさのお城。別名ルクセン宮殿ともいう。この国の王キリー=ブラベッシュは10年前に即位。今は三人の子供がいる。いずれも王妃の身ごもった子供だ。リアティーナは16歳の時に王が皇太子のころ結婚した。一番上は姉のメルティーナ19歳、次にサラティーナ16歳、そして

 ポポ……13歳。


「殿下!」
「へへへ〜ん」
「お待ちなさい!殿下!」
 スタタタタッ――宮殿内を駆け回る男の子がいる。

 皇太子殿下ポポ――

 いたずら好きな13歳。

 待てといわれて待つはずがないだろう。にやにやしながら走っている。かわいい笑顔だ。とても13歳にも見えない。11歳ぐらいといわれても通用する童顔だ。ポポはとっさに身を木の上に隠す。木登りもうまい。
 メイドが辺りを見回している。それを上から見ているポポ。ん?なにか持っている。パチンコの玉のようなモノか?

 ――ビシッ!――

 なんとメイドの胸めがけて投げつけた!小さな球が胸を見事に直撃。谷間に入り込む。
「殿下!」
 上を見上げるメイド。

「おおっ、いいところに当たったな、おい」
「いいかげんにしてください!」
「べ〜」
 ぺロッと舌をだして挑発する。木から木へ飛び移る。

 おおっ、見事――

 これがこの国の将来の王……?
 そう……

 皇太子ポポである。






「また逃げられたわ」
「もう〜ほっときましょう、王妃様からも手がつけられない時は放っておきなさいと言われてるし」
「はあ〜」

 メイド二人がなにやら呆れ顔で話をしている。実はポポは無類のいたずら好き。いろいろやらかすのだが、最近、色気が出てきたようで、スカートめくりをしまくっているのだ。メイドのスカートはスリップ入りなので特に手を掴んでやりやすいらしい。あげくのはてには他の貴族の女性にもいたずらする始末。
さすがに王妃も困っている。性に目覚め始め今が一番元気なお年頃。まあ仕方ないかもしれない。

 木の上でどうやら今は寝ている。

 ――暇だなあ……。

 めくるのも飽きた。うらやましいものだ。現代ならセクハラモノだ。玉を胸に当てるのももう面白くない。

 ――なにかないかなあ?――

 あどけない顔でキョロキョロと見渡す。なにもない……。

 はあ〜暇だ――

 ん?――

 ポポが右の奥の方を木の上から見る。二人の軍人がなにやら廊下で話をしている。一人は、男、もう一人は……ルビアだ。

 ――女軍人かあ……軍人は苦手だ。かわいくないし……ん?

 ――あれ、この顔は見たことない……。新入りか?

 ――へ〜この年齢でこの城に……まだこれって若い方なんだよな――
 28歳でもポポの年齢ならみんなおばさんだ。

 ――めずらしいなあ〜

 ポポ殿下がそう思うのは無理もない。この年齢の軍人がお城にいるのは研修の時ぐらいだ。城に登城してくる軍人は高年齢ばかりのじいさんがほとんど。

 ――おお!乳でか!へ〜

 そういうところは目ざとい。かわいい顔して本当に好きらしい。気の強そうな顔してる。まあ軍人はみんなそうだ。ポポはかわいいタイプが好みらしい。女性は年上ばかり……たまに貴族のお嬢様が来客としているだけだ。

 ――遊び相手がいない。

 だからメイドと遊ぶ。スカートめくって、風呂場覗いて。秘密の部屋覗いて。
 ある意味……うらやましい気もする。なんとなく気になっているのだろう、めずらしくじろじろ見ている。
 いつもはあまり軍人には興味がないのだが……。


 きりっとした顔立ち、男を寄せ付けないような雰囲気。本来ならあまり好みではないはず。

 ふ〜ん……でも、なんかいいな。

 ふふ……

 木の上であどけない笑顔で笑いながらルビアを見る。

 ――さ〜てと、部屋に戻って昼寝でもしようか。
 
 ポポは自分の部屋に向かって行った。

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