「どうですかな?この城は」 「ふふ、まるで自分のお城のように言われますね」 「ほほほ……長年住んでるとねそういうモノですよ」 ルビアがなにやら男と話している。初老の爺さん、名はポル。これでも元、皇族騎士団長だ。皇族騎士とは地方騎士とは違い中央で王家に直接お使えする騎士の事だ。身分は地方の騎士と同じ准貴族だが、格は上である。 騎士と軍人は似ているようで違う。両方とも同じ国家試験を受けて合格する時に選ぶ。騎士は主に馬に乗って斧や剣で戦う。軍人もそうなのだが、騎士と違う所は装備が動きやすい服装をする事だ。装甲のような鎧を着て戦うのが騎士。 まあどっちも興味のない者には同じ兵隊だが。 「さてと、これで私は失礼しますよ。もうそろそろゼットは来るだろうし」 「相手をして下さってありがとうございます」 「いえいえ、あなたのような綺麗な方と話が出来てよかった」 「ふふ、お世辞はいいですよ」 二人はなにやら談笑している。そこに兵士が一人やってきた。 「ゼット少将がお待ちです」 「そう、行きます」 ルビアは爺さんに会釈してゼット少将の元へ向かって行った。 ポポは部屋に戻ってきた。 ――眠れん。たいくつ……。あ、あれでも見るか。 ベッドの下からなにやら本を取り出す。ん?はは〜ん。エロ本だろうか? どうやら漫画みたいなモノのようだ。 ――おおっ、すげえ。 そこには気の強い女が男にやられる物語が描いてある。食い入るように見ているポポ。実は城外でひそかに買ったモノなのだ。この年齢はなんでも興味深深。特に女性の身体には……だろう。 数日前にひそかに入手。だがいろいろあって昨日の夜まで見損ねたからよけいに一生懸命見ている。 朝はメイドが来てバタバタするし、もう少ししたらまた勉強しないといけない。 13ページほどだ。すぐ読み終わった。続きものらしい。 ――はあ〜つづきが……気になる。ちぇっ…… ――あいつ持ってないって言ってたな〜 あいつ……あいつとはポポの親友のラミレス様。この城の近くに住んでいる富豪の息子。准貴族だが王家と深いつながりがある家柄である。 ――あっ…… モノが大きくなっている。おおっ、立派なモノをお持ちのようだ。さすがは皇太子殿下。 はあはあ〜たまんね。 どうやら自慰を始めたらしい。個人的には男の自慰には興味はない。ということでルビアの方は…… 「君にはポポ王子の側に警護長として仕えてもらう」 「殿下のでございますか?」 「そうだ、王妃様のご意向でな」 その言葉を言う時語気が強まる。ゼット少将……王、王妃以外の警護のトップに当たる男。中央に来た佐官以上の階級の人間の指揮を取っている。どうやら気に入らないらしい。ルビアがポポ王子の側に警護長として仕えることが。王子クラスになれば警護長は大佐クラスからが絶対条件なのだ。だが今回は王妃のご意向により……特例というわけである。 「がんばってくれたまえ」 なにかそっけない。 「はい」 なんとなくきびしい目で見られているを感じ取るルビア。 ――まあ、仕方ないわね。でもここでうまくいけば。 ルビアは障害があればやる気が出てくるタイプだ。その後二人はいろいろな打ち合わせを始めた。 ふい〜気持ちよかったア…… どうやら終わったようだ。にしても終わった顔もまた結構かわいい。なんとなくにくめないというのはこういう顔だろう。余韻にふにゃあっと浸っている感じと言えばいいだろうか? さ〜て…… コンコン、戸を叩く音がする。 「殿下、いらっしゃいますか?教務官のバルムクさんがこられましたよ」 「は〜い、わかったよすぐ行く」 ――やれやれ……またむずかしいこというんだろうなあ。今日は語学だっけ?やだなあ〜 身なりを整える。特に髪型にはうるさい年頃だ。 ――うしっ!かっこいいぜ。 ネクタイを整え、腰に手を当てる。 ――フッ、決まったな―― そして王子はしぶしぶ勉強道具を持って家庭教師のいる部屋に向かって行った。 |
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