殿下の部屋かららせん状になった道をスルスルと降りて行く。それをメイド達も窓からは見れる。だが地面にたどり着いてから、なぜか姿が消える。そしてどこかの部屋にいつのまにかいるのだ。

「殿下がまた消えたそうだ」
「またですか、ほって置きましょう」
「なんかあいさつを受けにとかなんとかメイドが言ってたな」
 地上でそんな話がしている。

 そう、殿下は……地下。

 ここは地下通路……なんと隠し通路なのだ。殿下がここを見つけたのは半年前。城から一キロ離れたある家の別宅で納屋の奥の洞穴がきっかけだった。ここから城内部に続いているのだ。
 そしてこれを知っているのは……殿下とラミレス様。ラミレスの別荘の納屋から発見されたのである。
 今では二人の秘密の通路になって、いろいろ隠し事などを情報交換しているのだ。半年掛けてこの通路を二人で整備したり探検したりしている。夜中にこの通路を利用することもある。こういうのが二人とも大好き。とにかく迷路状になっていて最初は大変だった。泥だらけになることもあり、どこで遊んできたのかと怒られることもしばしば。
 剣や、甲、めずらしい彫刻いろいろ揃ってる。H関係もここからだ。エロ本、Hな彫刻(フィギュア)、盗んだのかしらないが女物のショーツまである。
 さらに2ヶ月前に発見したのが、城内部の部屋にそれぞれ続いている通路だ。なんと王の寝室、各部屋の会議場、かなりの部屋にも続いていることがわかってきた。これはラミレスにも教えてはいない。
 どうやらこの国の創始者の方が作らせたものらしい。といっても400年も前のことだが……
 年月が経つにつれて、忘れられていったのだろう。本来は敵に襲われた時のためのものだったはず。

 ――さ〜て今日はどの部屋に行くかな。

 もう20分ぐらいたった。

 ――もういいか……どうせ行かなきゃいけないし。

 後はばれないように適当な部屋で……待っていれば、いつかはメイドがくるというわけだ。空き部屋はかなりある。それ探すのに30分はのんびり出来る。見つかったらそれで終わり。まあちょっと困らせてやろうという軽い気持ちらしい。メイド達もいつも不思議がっている。
 なにせなぜかいつのまにか部屋にいるのだから……。
 城内部の部屋と部屋は広く開いており、その間に人が通れるような隠し構造になっているのだ。これはポポ以外王家のもうだれも知らないことなのかもしれない。
 殿下は適当な空き部屋に向かって行った。




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