「きれいね〜」
 リリスがミクに声をかける。
「はい」
 はきはきと答えるミク。やっぱりリリスお姉様とお話しするのは楽しい。広大な花畑……蝋燭で見事に調和された美しさ……

 
 その中でするお姉さまとの会話……

 他の擬似貴族娘たちはどうやら少年と愛を語っている者もいる。なんせ世話してくれるのはみんな少年だ。さらに噂では選り抜きを選んでいるらしい。
 これが目的というメイドさんもいるのだ。

「でも……ほんと……ミセルバさまとああなっちゃうってびっくりよね」
「いじめちゃ駄目ですよ」
「うふふ、いじめてなんかないわよ〜」
 マゾの気のあるミセルバさま……リリスは今後どうやって身体を開発しようかと思っているのだろうか?

「ちゃんと監視してますから」
 ちょっとまた膨れるミク。
「はいはい」
 リリスもちょっと酔っている。今日のお酒はよほどおいしかったのだろう。

「これからもミセルバさまとの関係……大事にしましょうね」
 問いかけるリリス。男性的な格好がますます美しい。
「はいです」
 ミクはにっこり微笑んだ。かわいいドレス姿……本当によく笑顔が似合うミク

 

 その時、美しくもせつないバイオリンの音が響く……


「あら、もうお開きだわ〜」
「あ〜あ……」
 せっかく二人っきりになれたというのにもう終わりのようだ。

「最後の挨拶聞いてから帰るのよミク」
「あ、はい」
 ミツアーウェルの最後の挨拶があってこの晩餐会は終わる。
 しかしもうミツアーウェルは今日は現れないであろう……



 二人はゆっくりと大会場に戻っていった……



 哀しき音のレクイエムのようだ。
 現代の蛍の光のようなメロディ〜
 もちろん、生演奏で。

 

 ミツアーウェルは結局現れなかった。
 


 ちょっと不思議に思う者もいたようだが。
 リリスもその一人。


「疲れた〜」
 モーラが首をコキコキと動かす。美少年と話ばっかりして今日は終わったらしい。

「お酒って酔うんですね〜」
 妙なことをエンヤが言っている、これはかな〜り酔っている。

「さあ、明日からまた仕事よ、がんばってね、みなさん」
 リリスが声をかける。美乳が美しい。ちょっと酔っている身体はいいものだ。
 いまここで後ろから揉んだら最高だろう。
「は〜い」
 他のメイドたちも楽しい時間が終わってしまってあ〜あという雰囲気だ。

 次から次に馬車に乗り込む。

 ミセルバ様のメイドたちは一番最後に出発する。
 家柄の低い順から屋敷を出て行くのだ。


 出て行くのにも順番があるとは……


 大物の家のメイドは最後というわけだ。


 リリスとミクは先頭の馬車に乗って待っている。

「やっと終わりかよ〜」
 やれやれといった騎士たち。お嬢様ごっこは終わりといった雰囲気だ。
 みなかなり酔っているようだ。逆に言えば……それは……
 

 まあメイドの警護だから真剣になぞなれんというのが本音だろう。
 ダルマさまの趣味でもなければこんなばかばかしい晩餐会なぞ
 なくなってほしいというのが本音のようだ。


 最後の番が来た、リリスとミクの乗った馬車が屋敷から出ようとする……



 屋敷から……



 出た……出てしまった……



 屋敷を出れば……ミツアーウェルの権限は及ばない……



 次から次にぞろぞろと馬車が連なって出て行く……
 渦中の女性は先頭だ……


 ミクと共に……




 
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