馬車がミセルバ様が住んでいるオクタビアーム城に向かい始めた……
 ここから十キロほど先だ……

 そしてお城に向かう途中に大きな森の森道を通る。ここを抜けると城下町のはずれに出る。
 しかし逆の方へ行くと……

 


 ?……逆の方に行くわけがないか……


 7台の馬車が騎士に守られてゆっくりと進んでいく……20人強ほどの騎士も一緒だ。

「綺麗ですなあ〜」
 馬に揺らされながら、文句ばっかり言っていた騎士の一人が月を見て物思いにふけっているようだ。


 確かに……月は綺麗だ……


 ミセルバのように……美しい。この森道から見る月はまた格別のものだ。


「めずらしいな、君がそういうことを言うとは」
 同じく馬に乗りながらリシュリューがちょっと笑う。
「似合いませんか?」
「まったく似合わん」
 きっぱりというリシュリュー。

「騎士長殿ははっきり言われますな、はははっ」
 にこっと笑う文句ばっかり言ってる騎士。機嫌はよさそうだ。酒が思いっきり入っている。
 月の光に騎士の鎧が美しく光る……
 
 酔った身体を夜風がやさしく溶け込ませ……


 


 ん?……




 前に黒い服のようなものを着た集団がいる……



 先頭の馬車が止まった。



 道を塞がれたのだ。
 ここの道は一本道、ふさがれたら前には進めない。


「誰だ!」
 一番前にいた騎士が叫んだ!

 


その瞬間!!――――――


「うわあっ!!」 
「なんだ!――なんだあこりゃあああっ!――」
 ものすごい量の煙があっという間にあたり一面を覆う……


「ごほっ……ゴホゴホッ!」
 騎士たちが苦しみ始めた。騎士だけじゃない、中にいるリリスたちもだ。
 あたり一面に煙が充満している。どこから出たのかもわからない煙があたり一面にモクモクと煙っている。


 すると別の黒い服の男達が先頭の馬車の従者に……


 従者は予定どうり馬車を走らせた!

 馬車が暴走するように走り始める! リリスとミクを乗せて……



 (うう……うううっ……)
 目がほとんど開けられないリシュリュー! これでは後さえ追えない……が、


 (はしれええええ!!――――)

 ムチで馬を叩く! 心で馬に呼びかける!
 それに反応して馬が走り始めた! 
 騎士の馬はこういうとき馬車を追いかけるように訓練されている。


 リシュリューの馬は目の見えないリシュリューを乗せたまま走り始めた。
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