「きゃああああっ!!」
「は、はやく! はやく火を!!」
 あちこちでメイドや使用人、兵士達がてんやわんやの大騒ぎだ。すさまじい勢いで火が倉庫を焼いている。ここは王城ルクセンバロックの倉庫がある部分にあたる場所。宝物庫が置いてある場所だ。

 宝物庫といってもこの城にはおよそ百個ぐらいの数がある。そのうちの一つが燃えている。
 一つ一つにはお金で買おうと思えば、この国のすべてのお金を出してもたりないほどの財宝が眠っている。

「いそげ! 火を消せ!!」
 兵士や騎士、軍人たちが大慌てで火消しにやっきになっている。かなりの人数がここに来ている。燃える前に爆発音がしたために一斉に多くの警護の人間が押し寄せてきたのだ。井戸より水を汲みばけつのような容器で一斉にみずをかける。
 
 


 ん? ルビアたちもいる。

「殿下、近づいてはいけません!」
「うん、大丈夫」
 ポポもびっくりだった。突然大きな音がして慌ててベッドから飛び起きたのだ。

 そしてそれさいわいにと部屋を飛び出した。

 こういうところは、ずるがしこいというか頭のよいポポ。まんまと部屋から出ることに成功した。
 こうなるとルビアたちもついていくのが精一杯、ただただ追いかけるだけ。
 それに爆発音が気になる。数日前に殿下が襲われたこととの関係をルビアはすぐに考えた。
 





 それから30分ぐらいが過ぎた頃、ようやく火は徐々に消え始めていた……
 あたりでは後始末に追われている。

「どういうことだ?」
「なぜこのようなところから火が?」
 警備の兵士達がいろいろ騎士や軍人たちと話をしている。あたりには火が出るようなところはない。
「放火か?」
「う〜ん、どうであろうか?」
 みなみないったいなぜ、どういうことだという顔をしている。幸い宝物庫の宝や財宝はすぐに取り出して無事だった。
 あたりは火を消す道具や、宝物庫から取り出した箱や置物でごったがえしている。それをみなが整理を始めている。
 
 すると殿下が突然、

「僕も手伝うよ」 
「殿下?」
 ルビアが止める。殿下がすることではないと言おうとしたとき、

  

 

 なにを思ったのか突然走り始めた!



「殿下!」
 ルビアたちも走り始める。

 もう読めたルビア。
 ポポはこの気に乗じて城の外に出るつもりだ。まったく倉庫が火事になったというのに……

 


 走るポポ! 走る!……



「殿下!」
 追いかける3人、どうやらクライシスはもういないようだ。
「おいおい、まったく……外に出ようという魂胆かよ、こんな時にまあ〜」
 ジトがいぶかしがる。ジトももうわかっているようだ。


 ――でも、あの音すごかったな……何であんな音がしたんだろう?

 ポポも走りながらちょっと疑問に思っている。が、ここは絶好のチャンス!
 そして……ある別の事においてもチャンスなのだ。


後ろ ルビアトップ