別の一室でくつろぐサルン……。

 ――ふふ、あの顔と表情……すばらしい〜すばらしいね。

 すぐに僕のモノなしではいられないようにしてあげるよ。

 椅子の上に座ってのんびりと優雅な表情で。

 勝ち誇るサルン。この前のシスターとは違う優越感……素直に感情が出る。


 少し眠くなってきたようだ。余裕が出てきているらしい。
 サルンはゆっくりと眠りについた。




「おい、どうするんだよ」
「……どうって……」
 何やらエルフ達が話しをしている。それもこそこそと。
 ここにいるのはダークエルフではなく。元からいたエルフ達だ。ここのエルフの特徴はみんな小さい。 子供のように見える。
「このままじゃ、俺達も同罪に見えるぞ、冗談じゃない!」
「しかし……ダークエルフにはかなわないよ、それにあのサルンは……」
 その時だった。

「なにこそこそしてるの?」
 ミシェルンだ。チラッとエルフ達をみる。一斉に黙るエルフ達。

「悪いけど、まだまだ居座るつもりよ」
 くねくねと色気を振りまきながら先住民のエルフ達を見る。

「ど、どうなっても知らないぞ!」
「あら、面白いこと言うわね」
 言い返すミシェルン。文句を言ったエルフに近づく。

「どうもならないわよ、でもサルンがここに飽きたら出て行くつもりよ」
「マ、マレイアスを……やったのか?」
 ギロッと睨むエルフ。
「ええ、サルン……気に入ってるみたいね」
 気にっていると言うのは認めたくないらしい。

「……そう」
 と一言だけ言うエルフ。それが精一杯だ。マレイアスのことはみんな知っている。

「とにかく変なまねしたらただじゃすまないわよ、それだけは覚えておきなさい」
 そう言ってミシェルンが出て行く。お尻をくねくねと動かしながら。
 ダークエルフの着ている服はエロチックさを強調している服だ。
 後ろから襲ってくださいと言っているかのようである。

 平気な顔をしてミシェルンは出て行った。

「おい、どうするんだ……なんてこった! マレイアスさんが……」
 頭を抱えるエルフ。この少年エルフの名はリック。このエルフ達のリーダー的存在。

「…………」
 しょぼーんとしているのはミックだ。こんな事になるとは思っても見なかった。

「リック、今は様子を見よう、僕が怖いのはマメリアちゃんに手を出した時だ。あの子は街の権力者の娘だぞ。何かあれば僕らは……」
「わかってる、サルンもあの子には幸い興味はないらしいけど」
 みな愕然としている。でも相手が悪い。ダークエルフには勝てない。



 それにサルンは……ただのダークエルフじゃない。

「とにかく今は我慢だよ」
 エルフ達はあきらめ顔だった。ミックも悲しい顔をするしかなかった。
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