10分ほどたっただろうか?

「あった!」
 ミレーユが叫ぶ。彫刻だ。あの番号が刻まれた彫刻がある。
 彫刻は、子供のような格好をした少年風。しかし、彫刻には胸に刻まれた番号があるだけだ。

 これだけでは……

 ん? ミレーユが何か気づく。

「あっ……」
 お尻の穴にあたるところが、外せるようになっているようだ。パカッと音がしてはずれる。

「こ、こんな場所に……」
 なんとなく、恥ずかしいエルディーニ。
「こういうものよ、意外性ね〜」
 ミレーユはなぜか楽しそうだ。

 すると、さらに番号の記された紙が入っていた。さっそく、その番号の書物を探す。

「コレですね」
 今度は、エルディーニが見つけた。

 タイトルは、「俺様の個人主義日記」だ……100ページほどある。今度は、個人日記に秘密があるとでもいうのだろうか?
 しかし、読み始めるとミレーユが顔をしかめた。

「なによ〜この下品な日記は」
 内容に驚く二人。

 ○月×日

 俺様は、肛門を調べた。うん、快調だ! すばらしい肛門だ。このような肛門にめぐり合えて、気分がいい。

 ○月 ×日

 俺様は、ペニスを調べた。うん、快調だ! すばらしいペニスだ。これなら女も大満足!

 ○月×日

 俺様は、顔を鏡で見た。美しい顔が映っている。この顔に嫉妬する男達は馬鹿である。なぜなら、嫉妬すること事態が無意味だからだ。

 嫉妬をしても、女は寄ってはこない。

 嫉妬をしても、人として成長はしない。

 嫉妬をしても、鬱になるだけである。

 なぜこのような無意味なことを他の馬鹿男どもはするのか?
 それは人間として劣っているからだろう。劣っているからこそ、このようなことをするのだ。
 無意味な男達が多い世の中だ。


「なんでしょうね……自意識過剰かな」
 あきれる王子。
「疲れる日記だわ」
 うんざりのミレーユ。それでも読まなければ。

 
 ○月×日
 
 この世は金である、結果である。途中の経過は関係ない。
 数字で勢いづく商人たち、数字でしか見れない商人たち。
 その商人に踊らされ、脅され動くまつりごと。

 ああ、無情な想定内。
 ああ、無情な謝罪の言葉。
 ああ、無情な自己責任。


「なんでしょう? これ」
「……もう、読みたくないわ」
 さらに落ち込む二人だった。
 
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