雷のような電光が、サルンの前に立ちはだかるように現れる。 ――これは……かなり強力だな…… 素直な感想だった。いかに今のサルンでも、こいつはやっかいなようだ。だが、結界を張っただけでは、サルンは倒せない。しかし、これで逃げることはできなくなった。少なくとも、この結界がある限り。 静かにダークエルフの王は、地面に下りる。この結界のためだけにすべてを注いで…… 「始めよう! ラブゼン!」 「はい!」 一斉にすべての王族たちが、光を出す……しかし、その光は……暗い…… どすぐらい光は、質量がすさまじく重く見える。これでサルンを押しつぶそうというのか? 動きさえ封じ込めれば、神聖エルフの剣で、サルンは殺せる。 ――こ、これなら…… 無理やり后にされているマレイアスは思う。これなら、サルンを……ひょっとして。だが、この距離では、マレイアスも危ない。いかにカプセルに守られているといってもだ。 王のつくった、特殊な結界は、森全体を包み込んでいる。すさまじい気が入った結界だ。これが、王の力の一つなのだろう。サルンは、様子を見ている。むこうがどう仕掛けてくるか、見極めたいようだ。 重い、重い、光の玉は……雷雲のように、渦を巻き、巨大な黒い物体とかした! 「いけえええええええええええっ!!――――」 ラブゼンが叫ぶ! 物体が、黒い炎に包まれる! そして、王の作った結界を一気に突き抜けた! 構えるサルン! 全身が光る! その光に横にいるマレイアスも引き込まれていく…… 「うわああああああああっ!」 すさまじい黒い光の閃光に、マレイアスは、目を開けていられない! さらに光は、巨大化した! そして、黒い渦上の玉とぶつかり合った!!―― 大爆発が起きる! 黒い物体と、光が、混ざり合うように衝撃が飛び散っていく! 「きゃああああああああっ!!」 洞窟の入り口にいた、ミシェルンとランカたち! あまりの爆風にサッと洞窟奥へ逃げ込む! 爆風と渦が、森全体を覆うように広がっていく! そして、もう一爆発!―――― 「うぐっ!――」 「ぐああああっ!――」 カプセルの中で、防御している王族たちでも、この衝撃はすさまじい! そして、耳を飛ばすような、巨大な轟音が響く! 「……ううううっ……」 王族の女性の人が、倒れこんでしまった。カプセルが少しはじけている! 今度は、霧だ。濃いいきりがあたりを包む。おそらく煙のようなものに違いない。ゆっくりと霧が晴れる。 「あっ……」 「うむ……」 王は冷静だ。これで片がつくとは誰も思ってはいない。 濃い霧の中から、ゆっくりとサルンが、現れる……マレイアスも一緒だ。 目をつぶっているマレイアス。ゆっくりと目を開けると…… ――あっ…… サルンは無事のようだ。よかった……じゃない。 よくない。 ――くそっ……駄目か。 にらむ后。これほど、うまくいっていない夫婦もめずらしい。 ゆっくりと息を吐く……サルン。 「押しつぶす作戦か? 面白い」 「駄目か……」 ラブゼンが悔しがる。 「ラブゼン! エルディーニよ!」 叫ぶ王! 次の行動をしろと言っているのだ。ラブゼンたちは、次の行動に移った…… |
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