動かない……王。あっけにとられる王族たち…… 「老いたな……父上」 にやっと笑うサルン。そして、エルディーニを見る。 神聖エルフの剣を持っているエルディーニを…… 神聖エルフの剣は、サルディーニだけを倒せるのではない…… 震えながら、さっと構えるエルディーニ! 「弟よ……その剣を渡せば、他の年寄り王族は助けてやる」 「兄上……それが王族であるエルフの言う言葉か……なにをいうか……なにをいうかああああっ!――」 恨みを込めるように言い返すエルディーニ! すると宙に浮いているサルンが、笑った。 「なら、いただこうか……あの老害の息の根を止めるためにな」 「兄上! あなたはそれでもエルフの……誇りあるダークエルフの王族ですか!――」 泣き叫ぶエルディーニ! 「今頃、泣き落としか……古い手だ、君も古いタイプの、回顧主義の考え方か?」 サルンが近づく……それに何もできない他の王族たち。 「渡せ……エルディーニ」 笑う美少年。一番の老害を黒焦げにした少年が笑う。 「この剣で殺すのは、父ではない! サルディーニ! あなただ!――」 「ふふ……」 笑う、不気味に笑うサルン。さらに近づく……ゆらゆらと宙に浮きながら……その優雅に満ちた少年に敵意をいだくエルディーニ。 と……その時…… 「うおおおおおおおおっ!!――――」 すごいスピードで向かってくるカプセルがくる!―― ――ラ、ラゼ!―― エルディーニがラゼを見る! 「サルディーニ!――」 ラゼが叫んだ! ついに間に合ったラゼ。右手に水晶を持って…… しかし、かなり体力と精神力を使っているはずだ。 もう一度華麗な鎧に身を包んだ戦乙女が、目の前にあらわれた! 「また抱かれにきたのかい?」 笑うサルン。 「サルディーニ……あなたは私が倒す!――」 強気乙女がもう一度にらむ。美しいその目と身体は、一度サルンによって凌辱された身体だ。 「君には学習能力がないようだね」 あざ笑うサルン。同じようなことをしにきたのかと思っている。 「下の黒焦げの父上と、同じにはなりたくないだろう?」 「!――なにいいいっ?」 サッと黒焦げの男を見る! ――な、なんて…… ラゼのボルテージが上がる! 「サルディーニ! あなたは……」 「父上は虫の息だ。とどめは神聖エルフの剣でやらせてもらうよ」 ラゼに一瞬、悲しみが走った。しかし、悲しんでいる場合ではない! 「サルディーニ!」 と叫んだ瞬間だった! サッと身を翻し、一目散にエルディーニの元へ向かったのだ! 突撃するようにエルディーニに向かうラゼ! 「うわああっ!――」 ラゼの水晶が光った!その光にまぶしさを感じるエルディーニ! 次の瞬間…… 神聖エルフの剣はラゼのもとへ…… 「ラゼ!」 叫ぶエルディーニの前に、守るように立ちふさがるラゼ。サルンの方を向いてだ。 「……おもしろいね」 笑うサルン。今度はラゼが、神聖エルフの剣で来ると考える。サルンにとっては、無駄の繰り返しに見えるだろう。 「うおおおおおっ!――」 水晶と自身の身体が光る! ――また……繰り返しか…… 構えるサルン。受けるだけで、王族を打ち倒した。他の王族はもう、疲れきって動けない。すると、輝く光はさらに勢いを増す! ――ん? 輝きの強さが違う! 他の王族もあまりの輝きに、目をしかめる! すさまじい閃光とともに突撃するラゼ! 相当なパワーでやっているはずだ。カプセルでの無理な移動のうえに、これをやれば、精神力はもう空っぽになるほどだろう。 「う〜」 目をつぶされたようにされたサルン。しかし、これでサルンは倒せるわけではない! ――あっ!―― 目の前にいない……戦乙女が…… 「なに?」 少年がサッとラゼの気配の方を向く! ラゼはマレイアスに向かっていたのだ! |
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