特攻するようにマレイアスに近づくラゼ! そのすごみは、マレイアスをおびえさせるほどだった!

 カプセルの中でびっくりするマレイアス! 

 しかし!――

 マレイアスに到達する前に、カプセルが一瞬で離れていく!
「わわっ!」
 驚く女騎士。
「あっ……」
 はるか上空で飛ばされたようだ。王の結界はとっくに壊れている。これでは話をすることもできない。

「人質……作戦か。君は本当に学習能力がないようだ」
 少しムッとしているサルン。サッとサルンをにらむラゼ。

 ――悟られてはいけない。
 ラゼの心にその想いが出る。さいわいサルンは気づいていない。気づかない間に……なんとか。

「君にはお仕置きが必要だね」
 にやっと笑うサルン。その悪意の笑顔にゾッとするラゼ。意図はみえみえだった。
「僕も、父上との戦いでパワーがない。ほしい……君を……」
「クッ……」
 神聖エルフの剣を持って構えるラゼ。なにもマレイアスに頼らなくても、心臓と頭を刺せば終わる。

 しかし、それが大変なのだ!――


「にげろおおおおおお! らぜええええええええっ!――――」
 叫ぶエルディーニ!

「…………また抱く気か?」
「弟に知らしめてやらねばならないんだ。僕と弟の立場の違いをね」
「やれるもんなら、やってみれば!――」
 ラゼが果敢に突撃する! 剣で刺そうというのか?

 ――とにかく……マレイアスを……
 ここに戻してもらわなければならない。マレイアスははるか上空だ。笑うサルン。

 サルンは……目の前で……


 目の前で……犯すつもりだ!――

「わはははは! わが弟エルディーニよ! ラゼは僕の第二の后にする!」
「な、なんだと!――」
 叫ぶエルディーニ! もうわかっていたことだったが、現実をつきつけられる!
「そこで、見ているがいい! きさまの婚約者がいかに、僕に虜ということを!」
「あにうええええええええっ!――」
 もはや、兄というより、憎いレイプ魔だ!

「うおおおおおおおっ!――――」
 剣を持ち上げるラゼ! 突撃すラゼ! 

 それに笑うサルン!
 一斉に触手が襲う! ラゼも背中からの触手で対抗する!

 すると、サルンの全身が光った!
「思い知れ! ラゼよ!――」
「ああああああっ!――――」
 剣を振り上げ、頭を狙う!

 しかし、その剣が頭に突き刺さることはなかった……

 目の前にはすさまじい光に帯びたサルディーニの姿がある。
「ううううううう〜うああああああああっ!――――」
「きゃあああああああああっ!!――」
 すさまじい爆発とともに両者の触手が吹き飛んでいく! すると気流のようになった、光の渦がラゼを取り囲んだ!

「うっ……ぐぐっ……」
 引きずりこまれるラゼ。じわじわと追い込まれる戦乙女! 気流が触手のようにまとわりつく!

「くわああああっ!――」
 手足を気流で縛られた!
「ラゼ! らぜえええええええええっ!――――」 
 叫ぶ弟!
「弟に見せ付けてやるがいい。いかに君が淫乱だということを……」
 サルンの股間から、ペニスがのびる!


 こ、ここで……ここで本気でやるというのか?

 パワーをもぎとるだけなら、本来、触手を身体に突き刺すだけでいいのだ。

 しかし、サルンは……

「やめろおおおおおおおおおっ!――――」
 もういてもたってもいられないエルディーニ!
「お、おのれ! なんてやつだ!」
 ラブゼンが攻撃態勢に入った!

 もう残り少ない力を振り絞る!
 光の玉がサルンへ向かっていく!

 しかし、サルン……は。
 結界を張った……

「こ、これは……」
 皮肉にもこの結界は、黒焦げの父が使っていたものだ。
BACK NEXT TOP