パソコンルームで、ピコピコ鳴らしている女が一人いる。
 名は、舞堂 葵。三回生。

 通称パソ娘。頭脳明晰の女学生だ。コンピューターには並外れた知識を持っている。
 あの絶頂寸止め貞操帯プログラムを作ったのはこの娘。

「あら……」
 後ろを振り向くと亜津子がいた。
「熱心ね」
 感心している亜津子。こういう方面は苦手らしい。

「どうしたの?」
「実はね……」
 といって、そっと抱きついた。この部屋はパソコン部の部屋の一つ。
 舞堂 葵はパソコン部のリーダー。

 だが、実態は亜津子の仲間の一人。
 性格は亜津子と似ている。

「あ……」
 ゆっくりと肩もみから……胸へ……

「例のプログラムに二名ほど追加してほしいのよ」
「また、獲物にしたの?」
 どうせ後輩を餌食にしたと思っている、葵。

「一人は……ね〜」
「あふっ……」
 乳首をつまれた。どうやらコレもレズ奴隷の一人のようだ。

「三藤綺羅」
「……や、やっぱり……」
 わかっているかのような返事。
「もう一人は……」

「如月翔子」
「え?」

 驚く葵。

「気をつけた方がいいんじゃない」
「あら……この私にアドバイス?」
 触られながら言う舞堂 葵。

「感だけど……あの子は結構手ごわいと思う」
「知ってるの? 翔子のこと」
「結構噂になってるわよ、い、いつか……あなたとぶつかるって……あんっ!」

 ――ふふふ。
 なるほどと思う。

 実は、亜津子は、この舞堂 葵のアドバイスには耳を傾ける方なのだ。
 軍師としてもふさわしいらしい。

「新薬……入荷したらさ……」
「う、うん……」
 あそこをいじられながら、答える葵。
「あなたに新たなプログラム、作ってほしいのよ」
 首筋を舐めながら言う。奴隷は同級生でもすごく素直だ。

「い。、いいわよ……どんな?」
 亜津子が詳細を話し始めた。



 次の日……
 平然と授業を受けている翔子。優実がいてもお構いなし。
だからどうした、知ったことではないという態度だ。

 それにむかつく優実。

 ――いい度胸してるわね。
 まったく意に介さない翔子の態度に、ちょっと驚く。やはり手ごわい。

 授業が終わった。緊張の休憩時間……

「ちょっと、いい?」
 にこっと笑って優実が翔子に話しかける。まるでお友達だ。
 いや、表向きはお友達だった。
「何かしら?」

 辺りがシーンとなった。

「あなた、水泳部にも入部したの?」
「ええ、準部員ですけど。亜津子さんには、三藤綺羅さんが、話を通すって言ってたわ」

 これは嘘だ。

「そうなの? 初耳ね、知らなかったあ〜」
 笑う優実。顔が引きつっている。
「今日はテニス部へ行くから」
 にっこりと笑って返す。平然としている。
「うんうん」
 また笑うサド娘。


「仲がいいわね、本当に」
「…………」
 有機香の言葉に回りはみな黙っている。もちろん、逆の意味で。

「じゃあ、放課後ね」
 そう言うとチャイムが鳴った。サッと各々席に戻る。
 緊張感が解けた。

 何事もなく始まる授業……

 ――ふふふっ
 翔子は心の中で静かに笑っていた。

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