「亜津子、今度こそ会長になりたいのね」
「……私の将来のためにもね」
 その言葉にちょっとだけ共感を覚えた綺羅。

「あなたもわかっているはずよ、この学園には選ばれた人だけがいる。そこで勝ち抜くことが、将来のためにもなるのよ」
「ま、別にいいけど」
 そういうのにはあまり興味ない綺羅。もっとも、自分も自動的になった執行役員の一人ではあるが。
 
「あなたとは、話し合えば理解できると思ってるわ」
 擦り寄る亜津子。優実とレズ行為にふけっていた時は、結構怒っていたのだが……

 ――ふん、選挙前の味方探しか。
 綺羅も裏を読んでいる。

「翔子は準部員として認めてくれる?」
「ええ……あなたが私を押してくれるのなら」
「いいわよ、それで」
 やりあいたくない綺羅。もう面倒になったようだ。

「じゃあね」
 さっさと出て行く綺羅。こうして取引は終わった。だが、絶対に亜津子を押してくれるとは限らない。

 ――選挙が終われば……覚悟していなさい……綺羅。
 亜津子がスカートをチラチラと動かしながら、笑っている。

 いずれは……調教する予定なのだから。
 



 部屋に戻った無敵のお嬢様。校則が載っている学生手帳を持っている。

 ――ふ〜ん。
 喫茶店でいろいろ話しを聞いた。そこで生徒会に興味を持ったらしい。

 ――いろいろ出来そうね。
 どうやら役員にでもなりたいようだ。そう思うのも無理はない。

 あの三毛亜津子が力持っているという場所だ。
 そういう場所に飛び込んでかき回すのも面白い。

 しかし、どうやってなるというのか?

 ――ところで、生徒会長って……誰だっけ?
 ということで手帳を見ると……

 海道美知と書いてある。この人がこの学園の生徒会長だ。

 ――あら?
 美知?

 聞いたことあるわね……そう……

 綺羅さん!

 翔子は思い出していた。


 ――生徒会長の海道美知。確か……

 そう、三藤綺羅さんとお友達……
「生徒会長か……」
 生徒会長など、いつでも自分ならなれると思っている翔子。
 さすがは、自意識過剰のお嬢様。しかし、確かに人望と行動力はある。

「海道さんて人は、綺羅さんと仲がいいらしいわね」

 ――亜津子とはどうなのかしら?

 ふと思う翔子。こうなると聞きたくなる。すぐに携帯を手に良子へ電話する。
 人間関係のチェックだ。

 翔子の生徒会への興味は強くなっていった。



 明日から三連休……
 翔子はぐっすりとお休み中だ。あれから携帯でいろいろ話を聞いた。
 そうこうするうちに夢中になって数時間話し込み。
 後はお風呂に入ってむにゃむにゃ状態。

 その頃……
 深夜に近い時間……

 ここは翔子の部屋とは別の場所。
 テニス部の一室だ。

 こんな夜更けに?
 向こうで数人の女たちがいる。

「本当に?」
「ええ……」
 亜津子と誰かが話をしている。どうやら同じ三回生のようだ。

 二人だけ。

「あなたがいろいろ情報を流してくれると、とてもありがたいの」
 椅子に座って優雅に脚を組む亜津子。それと対になるようにこの女学生も座っている。
 テニス部の一室なのだが、この娘はテニス部ではない。

 水泳部だ。

「いいわよ……綺羅のことだけなら」
 にこっと笑う亜津子。返事が気に入ったらしい。にしても水泳部のキャプテンの情報を流すとはどういうことか?

「決まりね、じゃあ見返りに……」
 不適に笑う亜津子。

「調教してあげる」
「え?

 調教?

「な、何言ってるのよ」
 三宅ゆみが叫んだ。いきなり調教とかいわれれば、そりゃ怒る。

「あなた……妙なクラブに通っているそうね」
 立ち上がって笑う三毛亜津子。

「…………」
 顔色が変わったゆみ。三回生水泳部の副キャプテンが、驚いている。

 三宅 ゆみ……水泳部副キャプテン。
 しかし、最も綺羅を嫌っている一人だった。

「尻の穴、ほじくられて喜んでいるらしいじゃないの」
「……あ、あなた……」
 動揺するゆみ。表情が変わる。水泳部で鍛えた身体も震えている。

「協力する以上、絆を深めないといけないわ。何事にもね」
 スッと近寄る亜津子。数日前からこの女学生と交渉していた亜津子。綺羅の情報や動向を教えてくれるというのだ。しかも副キャプテンである。これほど、都合がいいものはない。

「い、いやよ……」
 防御の姿勢に転じる三宅ゆみ。しかし、もう時は遅かった。ここはテニス部の部屋だ。
 逃げようとするが、数人の女が出てきた。あっという間に囲まれた。

「悪いようにはしないわ。一緒に綺羅を……ね」
「や、やめて!」
 ふくよかな胸がプルルンと揺れる。両腕を掴まれた。掴んだ女性たちは、亜津子のレズ奴隷である。みな一回生の娘だ。

「ゆみ、あなたマゾらしいわね」
「…………」
 嵌められたと思ったゆみ。しかし、亜津子は、仲間になれば綺羅を貶めてくれると言っている。

 こういう危険性はもちろん認識していた。しかし、それでも……

 それでも……綺羅を!

 ……の想いが強いゆみ。

「この私の仲間になる以上、あなたにはそれなりの対価を払ってもらうわ」
「な、仲間じゃないわよ。取引だけよ」
 さっと胸の辺りを手で覆う。

「そう、なら協力しないわ。ただひたすらあなたを調教してあげる」
「な、なんですって?」
「嫌なら協力しなさい。悪いようにはしないから」
 笑う亜津子。その笑いは危険だ。

「恋人を、取られた恨みを晴らしたいのでしょう?」
 肩を持ってそっと後ろからささやく。その声はあまりにも神秘的で怖い。
 その言葉に三宅ゆみは逆らえなかった。

 後ろから……ゆっくりと……ゆみは乳を揉まれ始めた……


 柔らかい乳が制服の上からゆっくりといじられていく。亜津子の唇が、ゆみの首筋に吸い付いていくのだ。そのたびにゆみは身を焦がす。

 ゆみが通っている秘密のクラブは会員制。そこでマゾの調教を喜んで受けている。それによって欲求が満たされていた。この学園のお嬢様のストレスはすごい。ドロドロとした権力争いが見えない力で覆われている。

 如月舞のような、ボーっとしたタイプなら、実に幸せなのだが。

 そういうタイプは非常に少なく、勝ち抜くことを意識する女生徒たちがここは多いのだ。 この中から将来の国を背負うものが現れるのである。

 だが、あの性格の翔子には、国など背負ってほしくはあんまりないが……

 感じ始めたゆみ。マゾ漬けにされた肉体は、いつでも被虐体制に入っている。すぐにスイッチが入ってしまった。

 恨みを晴らしたいのでしょう?

 その言葉が、マゾの心を増幅させていく……

「あっ……う……んうう」
 母乳が出るような乳を、乳首が突起するように押しつぶす。やさしく押しつぶされた乳は、乳首を自然と隆起させる。服の上からマゾの鈍い感覚が身体に入っていく。

 すると、一回生の女学生たちが近づいてきた。

「さあ〜たっぷりとかわいがってあげましょう」
 亜津子は微笑んで言うのだった。
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