優実という女 |
「ねえ〜どうだった」 「え?」 ベッドの上で、優実にまたがっている中野篤が聞き返す。 「あの女のことよ」 「お前……嫌いなんだな? あの翔子さんて人。だいたいああいう紹介の仕方する時って……」 「さん?なにさんづけなんてしてんのよ」 「おおこわっ……」 篤が下半身に力を入れる。 ――あっ、もう〜話してるのに。 快感が戻ってきた。優実の顔に淫らな表情がよみがえる。篤が乳首を吸う。荒々しい吸い方だ。 だが情熱を感じる愛撫。優実はそういうとこに引かれているのだろう。 「ああっ……だ、だから……ねえ、いい女と思った?」 「はあ〜いいぜ〜 今日のお前の穴」 「馬鹿!」 篤はそれどころではない。さっさと満たされたい気持ちが強いのだ。 ――仕方ないわね。 優実は篤が満足するまで待つことにした。篤が優実の唇を吸い始める。 淫欲を唇から奪い取るような感じで唇を舐め回す。 それに答える優実。絶頂寸前に必ずするこの口舐めの行為。 篤のくせだ。 ――おお、いいぜ……きょうもばっちり! ――はあはあ〜 優実はかなりきているようだ。 ――をおおおっ、 ――くうっ……いっ……イクッ! やっと済んだ行為。 二人はしばらく篤のベッドの上で横たわっていた。 いつものように余韻に浸る篤。だが優実はもうなにか考え事をしている。 ここは篤の部屋。 篤も優実も寮生活。こっそり夜に、篤の寮のアパートに忍び込んでいるのが優実。 週に2、3回は会っているようだ。 「で、なんて言ってたっけ?」 「どうだったって聞いてるのよ」 「美人だと思った」 「ふ〜ん」 そう優実が返すと二人はしばらく黙ってしまった。 「抱きたい?」 「あっ? おいおい」 びっくりして余韻に浸っていた篤が優実を見る。 「なんてこと聞くんだよお前は」 「抱きたいか聞いてるのよ」 「そりゃあ男だからな」 「あの二人はなんて?」 ムッとしながら聞く優実。 「いい女っていってたな、特に高次は気にっていたらしい」 「抱かせてあげましょうか?」 ピクッと篤の眉が動く。 「おまえ……まさか」 にこっと笑う優実。その笑顔が怖い。 「おそろしい女だなお前って」 「なに言ってるの、前も一度やったじゃん」 「俺に犯罪者になれっていうのか?」 「もう犯罪者でしょ?」 じっと優実を見る篤……優実は笑っている。 ――こいつ、またあれを。 だが少し考えて、 「亜津子の差し金か?」 「まあ、それもあるかな」 「テニス部って怖い所だな」 「どこの部もどろどろしてるわよ」 平然という優実。そう、この学園の暗闇の部分の大半は部活なのだ。 「考えておくわ」 優実から目をそらして答える篤。 「考えておいてね、事と場合によっては強引でも構わないから」 「でもよ……同じクラスだろ?」 「だからなに?」 「いやなんでもない」 黙ってしまった篤。 「それと、時枝先生のことだけど」 「わ、わかってるよ、黙っとけばいいんだろ?」 「そうよ、しゃべらなければいいのよ、あんた結構おしゃべりでしょ?」 顔に似合わず篤は口が軽い方なのだ。 「見なきゃよかったぜ」 「見た以上は黙っててもらうわよ、先生は、ああされることを望んでいるんだから」 「ああ……」 篤は一応納得したようだ。だがあの光景は衝撃だった……ほんとうに。 「ねえ〜抱いて」 優実が近寄る。そっと抱きかかえる篤。お互いの裸が汗で濡れている。優実はかわいい、 でも……怖い。 あの光景を思い出しながら篤は優実を抱き始めた。 |
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