誘惑


 ――寝ちゃったのかなあ〜

 この時間帯にまずメイドがここで寝ていることはありえない。今は夜の食事の用意で忙しいからだ。といってもリリスぐらいの立場になるとほぼすることはないのだが。

 ――う〜ん、困った。

 起こそうかとも思ったが、すやすや寝られては文句も言えない。仕方なく椅子に座る。しばらく上を向く。チラッとリリスを見て……下を向く。なにをしているのだろうか?だがこれには理由があった。またチラっとリリスを見る。

 ――うわ、きれいな足。

 これは目の保養だ。すらりと長い足がふともも奥まで見える。寝違えている内に、スカートがめくれて露になったのだろう。今のロットはまだ軽くだが媚薬の効果が効いている。治療にいくたびにたっぷり持続性の高い媚薬塗られているのだから。ライザが使っているのは本当に持続性が高い。そして効果は薄い
 薄く、長く……年寄りなら元気がないのであまり変化がないかもしれないが、若いロットは別だ。本来媚薬がなくてもリリスの今の姿は、刺激が強い。

 ――困った。

 足ばかり見ても仕方がない。かといって足が気になってふとももが……気に……勉強する気にもなれない。ベッドに一緒に横になるわけにもいかない。まさか脱がすわけにも。

――起こそうか。

 リリスさんもずっとこのままというわけにもいかないだろうし。

 ヨッと……
 ゆさゆさとリリスを揺らすロット。その時リリスは夢を見ていた。






 ――やっ、やめて……なにするのよ!

 へへっ、おまえなあ売られたんだよ。

 ――騙したのね!

 馬鹿な女だなあお前も。

 いやっ!

 いやああああああああああああ
・・・・・


 バキッ




 イタタタタタッ……

 あッ……

 ロ、ロット様!

 どうやらリリスの鉄拳がロットの顔を直撃したらしい。

「だ、大丈夫ですか?」

「ごめんなさい。いえ申し訳ありません」

「い、いや、気にしないで」
 ロットも今日のことを知って気を使っているのだろう。にしても強烈だ。とても女のパンチとは思えない。
どうやらおでこに当たったらしい。ぷく〜とふくれているようだ。

 ――ん?

 よくみると……かわいい顔がますますかわいい。

 スッとリリスが駆け寄る。
「本当に申し訳ありません」

「いや……構わないよ」
 災難である。リリスは棚の医薬品入れを持ってきた。各部屋には必ず置いてある。怪我したときも簡単な消毒や治療なら近くのメイドが治療を行う。スッと顔を近づけるリリス。思わずロットが下を向く。顔を見ると恥ずかしいからだ。
 ……が、下を見ても恥ずかしい。

 胸がちょうどまん前に来ている。谷間がドーンと接近する。これではペニスはたまらない。


 ……うわ、すごい……

 おでこの消毒をしているリリス。

 ――あっ。
 どうやら……大きくなったようだ。こ、困った。目をつぶればいいのだが、その選択肢はなぜか選ばないらしい。スッとリリスが下を見る。

 ――あらあら。

 ロットは顔真っ赤だ。さらにおでこも真っ赤。じっとロットを見るリリス。


 なにかを……なにかを……リリスが企みはじめた。

「ロット様、下も治療しましょうか?」
 にこっと微笑むリリス
「ええ?」

 ロットはビックリして上を向く。切なそうなリリスの顔が迫ってくる。

 次の瞬間ロットとリリスの唇は重なりあっていた。


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