二人の間に長い静寂の時間が過ぎる。ミクはある程度の覚悟も決めている。 女同士とはいえ……気持ちの問題、感情が入るのは当然。ミセルバ様がお怒りになれば。下手をすればメイドの職どころかこの地方からも追放である。だがミセルバは感情だけでそのようなことをする女ではなかった。 「ミク」 そっとミクの頬を両手で包む。 「私のこと……好き?」 「はい!もちろんですミセルバ様」 「うふふ……じゃあ〜リリスは?」 「リリスお姉さまも好きです」 「ミクらしいわね」 ふう〜っと心の中でため息をつくミセルバ。ミクなら当然の返答。そしてその場つくりの言い逃れでもないのはミクの場合は明らかだ。だが独占欲は納得しない。 ――でも……それでどうこうする気もない。 その気になればたった今からでもリリスを城から追い出し、この地方から永久的に追放も出来る。だがそれこそ力で一人のメイドを潰したと単なる笑いものだ。他の御領主の中には、自分の愛人が他の男と密通しているのを知って、愛人ごとその場で切り殺した例もあると聞く。 だがミセルバは違った。しかし……感情は複雑だ。恋愛感情を持ちはじめた以上……。 「ミク、聞かなければよかったわ」 「ミセルバ様」 スッと下を向くミセルバ。恋愛感情が芽生えたミセルバにとっては複雑だ。同姓にそのような感情を持つのも不思議。心の整理はとても今はつかない。 「あ、あの?ミセルバ様」 「ん?」 「リ、リリスさんは悪くありません。だ、だから」 「ミク、私はそんな女ではないわよ」 「は、はい」 緊張しているミク。もしやリリスをどうこうしようという気を持ったらと思ったのだろう。どんな立派な人格者でも感情に振り回されることもあるからだ。ミセルバがスッとミクを抱きかかえる。 おっぱいとおっぱいが微妙に重なり合う。乳首と乳首が微妙に触れた。 ――ミク……絶対に。 ――離さない。離さないわ…… グイっとミセルバがミクを近づけキスをした。力強い男性的な激しいキス。この瞬間攻守は逆転した。 |
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